唐突に更新します。猛残暑が続いていますが、真夏の割には視界のいい、快晴の日が多いように思います。先週、大阪に行っていて、深夜バスで東京駅に帰りついたのですが、早朝の澄んだ空気の中、朝日に照らされた丸の内の“色彩”がとても美しく感じられたので、特に「オープン」とかのニュースなタイミングがあるわけではありませんが、ご紹介します。
北側(神田駅側)から臨んだ赤レンガ駅舎と背景のビル群。中央にそびえるのは JPタワー。5月末にオフィス棟と低層部の東京中央郵便局が先行オープンしました。右側奥のレンガ色の高層ビルは、低層部に丸の内一号館を再現した「丸の内パークタワー」。右側に少し見えている石灰色の高層ビルは「丸ビル」です。
快晴の青空に溶け込むようなJPタワーのブルーと、東京駅、丸の内パークビルのレンガ色、それに陽の光で白っぽくはねた丸ビルのベージュグレー。色のばらつき具合が絶妙です。
丸の内オアゾ前から。月曜でしたが、まだ早い時間なので、出勤するビジネスマンの姿もまばらです。東京駅復元改修工事もかなり完成に近づき、工事用の無粋な囲いも少しづつですが取り払われつつあります。そして、こないだまでこの位置からはたぶん見えていなかった、JPタワーの低層部が顔を覗かせていました。
ディープブルーのガラスの巨塔の足元に朝日を浴びて浮かび上がる端正な美白のお顔。シンボリックな大時計を中央に配した、かつての旧中央郵便局を再生した建築です。
新丸ビル前あたりから。赤煉瓦駅舎と八重洲口駅ビル(グラントウキョウ)とJPタワーを込みで撮影。新丸ビル前からが、新旧の東京駅舎とJPタワーを1枚に収めるベストアングルでしょう(朝なので赤煉瓦駅舎が逆光なのはご容赦。)。ただ、JPタワーの大時計の下の部分を覆い隠すように立つ四角い構造物がとても邪魔です。東京駅の地下コンコースに通じる出入口なんですが、ボリュームがあるのは換気塔かなにかを兼ねた施設だからだったと思います。JPタワーを低層部込みで間近から撮影しようとすると、いつもこいつに悩まされます。東京駅改修工事が完成して駅前広場が整備された暁には撤去されるのでしょうか?こういう無粋なものは是非とも撤去してほしいですね。
パースを見た時は、低層部と高層部のデザインの断絶感が激しく、妥協と政治的配慮の塊のようなとってつけたようなヒドいデザインだと感じたJPタワーですが、こうしてみると、案外違和感がなく、ほっとしています。
敢えて高層部を、足元の「旧館」と対極の総ガラス張りにしたのは、視覚的に、高層部を空に溶けこませることで存在感を消すのが狙い、と、どこかで読んだような気がしますが、その狙いはまあ、成功してるんじゃないでしょうか?高層部のファザードのV字エンボスも、パース段階では意味不明なデザインと感じましたが、こうしてみるとなんとなく、タワーをより空に溶けこませる視覚的効果があるように感じます。
小泉政権下の郵政民営化の熱狂と、その後の揺り戻しの中で、さんざん政局と政治家の売名に翻弄され、残す残さないですったもんだした、旧東京中央郵便局舎。当初は一旦取り壊した上で、「再現」する設計で工事が始まりましたが、某政治家の横槍で急遽、壊さず「保存」した上で再生されました。
それはともかく、「再生」工事前は、100年近い時を経てくすんだベージュ色でしたが、完成当時の「白」が復活すると、ここまで印象が違ったものになるとは驚きでした。新と旧のホワイト&ブルーのコントラストが鮮やかです。
5月末から、この大時計も再び丸の内を訪れる人に時を告げています。商業施設を含めたグランドオープンは来年春ですが、郵便局はすでに再入居、営業しています。 てゆうか、見た感じ、正面からは以前どおりのただの郵便局にしか見えません。「商業施設」というのは、裏の「新館部分」に入り口ができるのかな?
東側(JR線路側)から。 上の大時計の針をみてもわかるように、朝7時すぎなので、東面はもろに朝日に照らされて、まばゆいほど白が際立ちます。
高層部のファザードにエンボスなどの少し凝ったデザイン処理がなされているのは北面だけで、それ以外の面は、このようにいたってシンプルなオフィスビルです。そして色合いも、ブルーというよりエメラルドグリーンっぽくみえます。(色を変えてるのか光の加減でそう見えるのかわかりませんが。)
こちら側からみると、低層部の形状が正面側のように正体していないので、高層部が、裏側に建つ別のビルのようにも見えるので、デザイン的な違和感はないですね。
上の写真より少し銀座よりにずれた地点から。7時半をすぎると、通勤の人たちの姿が徐々に増えてきました。
正面(北面)からみるのと違って、裏からみると、歴史的建造物の上にガラスの高層ビルが乗っかているというより、足元に外周部だけ残したか、あるいは、旧館の中庭か裏庭に高層ビルを建てたような配置になっていることがわかります。「商業施設」のメインエントランスはこっち側か、あるいはこの反対側の皇居側に作られるんでしょうかね。
上の写真とほぼ同じ地点から北側を望む。新生中央郵便局のpure whiteと、工事終了が待ち遠しい東京駅舎のbrick red (煉瓦色) が通りを挟んで対峙し、それぞれ建てられた当初の色彩の美しさをアピールし合っているようです。(真ん中で抜けるような快晴のsky blue を切り裂くようにそびえる新丸ビルの渋いCharcoal- grayも、見事に街並みに溶け込み、いいアクセントになっていますね。)
せっかくなので、最後に朝日を浴びる新丸ビルの1S写真。新丸ビルの色は黒だと思っている人が多いかと思いいますが、こうしてみるとシルバーメタリックが入ったチャコールグレーだということが分かります。いやそれにしてもこの角度から見上げる新丸ビルのサイバーレトロ感はいつみてもvery cool!萌えます(笑。