「丸の内永楽ビル」は、なかなかイーヨ!!

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「地価日本一、丸の内が銀座に並ぶ 大型開発で活気 ー12年公示地価ー」
日本経済新聞 2012/3/22/22:14

今回の公示地価では、6年連続で地価の最高地点となっている東京・中央区銀座の「山野楽器銀座本店」に、同・千代田区丸の内の「丸の内ビルディング」が並んだ。丸ビルが首位になるのは2006年以来。周辺では大型ビルの開発が今も進む。ビル間の競争が活気をもたらし、地価下落にブレーキをかけた。
山野楽器が前年と比べ2.2%下げたのに対し、丸ビルの下落率は1.8%。丸の内周辺は特区指定を受けて容積率が緩和され、今年も「丸の内永楽ビルディング」「パレスビル」など大型ビルの完成が続いている。



3月21日撮影の東京駅前(丸の内オアゾとJR高架の間から南西を臨む)。
写真右端が今回公示地価日本一となった「丸ビル」。左側が修復再生工事の進む東京駅赤煉瓦駅舎のネギ坊主屋根。その向こうに見える青いガラス張りのビルは、東京中央郵便局跡再開発「JPタワー」。高層部の外観はすでに完成しています。(この写真では赤煉瓦駅舎に隠れて見えない低層部の旧郵便局舎保存再生部分も大分姿を表していました。その様子は近々記事にしてアップします。)


新丸ビル前、駅前広場から大名小路(?)を北方向に臨む。(→ストリートビュー
手前の、外壁タイルのレンガ色(?)が鮮やかなクラシカルな建物は、旧日本工業倶楽部会館。往年の姿を忠実に保存、再現しつつ、三菱UFJ信託銀行本店ビルと一体再開発されています。


ひとつの建物でありながら、別デザインの外観を重ねるように組み合わせたファザードは、一見して別の建物が並んで建っているように見えます。これにより、単調になりがちな高層ビル街に、見事に「街並み感」を生み出しています。

さらに奥の、黒光りする縦のラインが重厚感を放つ建物は、冒頭の日経新聞の記事にもある「丸の内永楽ビル」です。この建物も、大きな一つのビルでありながら、低層部のファザードのデザインに変化をもたせ、2つの建物が並んでいるように見えます。


永楽ビルの北側に回り、上の写真の反対側から丸ビル方面を臨む(→ストリートビュー)。実際には2つの巨大な高層ビルなのですが、低層部のデザインに変化をつけることで、4つの建物が並んでいるように見えます(と言ってもこのサイズではちょっと分かりづらいので下の写真でズームイン)。
左手奥の肌色の建物が「丸ビル」の低層部で、その手前の黒い建物が「新丸ビル」。この2つを合わせて全部で6つの建物が並んでいるように見えますが、実際には左奥から「丸ビル」→「新丸ビル」→「三菱UFJ信託ビル」→「丸の内永楽ビル」の4つです。

「蘇る一丁倫敦と百尺街」
の記事でも書きましたが、ここから見る風景は、低層部については「丸ビル」から「永楽ビル」までほぼ同じ高さで一直線に連なり、「統一感と多様性」、「先進性とレトロ感・風格」をそれぞれ両立した、見事な街並みが出現しています。

三菱UFJ信託ビルの旧日本工業倶楽部会館棟が少し低いですが、その適度なバラけ具合が、全てビシッと同じ高さで統一するより、より自然な「街並み感」を演出しています。三菱地所がどこまで計算してグランドデザインしているのか分かりませんが、まさに絶妙のバランス感覚だと思います。


「丸の内永楽ビル」の高層部。27階建て150mなので、この界隈では今やそれほど高いビルではありませんが、延べ床面積は14万㎡、1フロアあたりのオフィス床面積は3千㎡以上という、巨大なオフィスビルです(まあ、敢えて悪く言えばデブビルですが)。  

低層部は商業施設となっていて、施設名は「iiyo!!(イーヨ!!)」。外観デザインの重厚感とは不釣り合いなまでの軽いネーミングですね。(ウェブサイトもなんか軽いノリw。)でも、ともすれば敷居が高くなりがちな丸の内に立地する商業施設を、こういうところで少し「ベタ」にして、普段丸の内に縁のない私のような庶民にも親しみやすくするのは、うまいマーケティングだと思います。そういう狙いなのかどうか知りませんが。)


永楽ビル北西角から丸ビル方面を臨む。上の写真からワンブロック皇居よりの「丸の内仲通り」です。(→ストリートビュー)。大名小路側のように2つの建物のようには見えませんが、非常に変化に富んだ、凝ったデザインなので、単調さは感じません。こちらはよりスケール感があり、マンハッタンの街角に立っているような錯覚を覚えます。(高層部分の高さはマンハッタンとは勝負になりませんが)。

何枚か貼ったストリートビューの画像(永楽ビルはまだ基礎工事段階)と見比べてもらうと分かりますが、一連の再開発による丸の内の景観の激変ぶりは凄まじいものがあり、さらに、まだまだいくつもの大型の再開発計画が連鎖的に進行中です。全て完成したら、世界の大都市の中心街の中でも、有数の景観を持つ街区となる可能性を感じます。

ただ、皇居見物に来た外国人観光客は、今はまだほとんど丸の内を素通りしているようなので、あとは彼らを引き留める仕掛け作り=日本的なテイストをもっと盛り込めないかな?と個人的には思います。(「一丁倫敦」では、外国人観光客の集客コンセプトには成り得ない。なぜなら本物のロンドンに行った方がいいに決まってるからw)。これだけの街並みを外国人観光客に見てもらえないのはもったいないので三菱地所さん、是非ご一考を。

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コメント

  1. TokyoWatcher より:

    永楽ビルは縦基調で立体感があってカコイイ!! 丸ノ内の百尺ラインはいいですね。高さも丁度いいと思います。歩行者目線で見上げるほどでもないですし。 銀座の中央通りは新しい街路灯(半透明ガラス柱)になり、街並みがのっぺりとした感じになった印象を受けました。 衛生的なキレイさを強調するにはいいんでしょうが。それにしても信号機の柱まで水色とは...。

  2. tt-moon より:

    TokyoWatcherさん。コメント有難うございます。 銀座の街路灯がそんなふうになってるんですか?しばらく行ってないので今度見てきますね。