前回のエントリーから随分さぼってしまいましたが、続きです。。。とりあえず、新聞記事の要旨のおさらいをしときますと、
表参道歩道橋を撤去へ(東京新聞 2011/10/9)
渋谷区の「表参道歩道橋」を、警視庁と都が撤去する方針を決めた。(中略)表参道はもともと明治神宮から初日の出を拝めるように造成された。太陽が照らす、明るい表参道の復活が期待される。(後略) |
と、いうことで、「表参道が明治神宮から初日の出を拝めるように配置された」というのはトリビアだと思うので、今回はそこに焦点を当ててみたいと思います。
明治神宮南参道入口(原宿口)。写真は午前8時頃の様子です。表参道側から差し込む朝日が木漏れ日となって「一の鳥居」をキラキラと揺らめかせています。
鳥居前から表参道を経て青山・六本木方面をを臨む。
この写真は、10月後半のものなので朝日がまだだいぶ右にずれていますが、今の季節だとちょうど表参道の正面(六本木ヒルズのでかいアタマが覗いているあたりw)から日が上り、この写真の撮影ポイントに向かって一直線に朝日が差し込んでいるはずです。
表参道を明治通りとの交差点まで来て西に向き直り、明治神宮方面を臨む。表参道両脇の歩道にある巨大な石灯籠が、朝日を一身に浴びて、異様な存在感を放っています。
明治通りとの交差点から東を臨む。東京新聞の記事には、「明治神宮から初日の出を拝めるように造営」と書かれていますが、正確には、冬至の日(今年は12月22日で、もう過ぎてしまいましたが・・・)に、ぴったりこの真正面に日が上り、旭日から発せられた光が表参道を一直線に走りぬけ、最後に明治神宮大鳥居前を射し染める・・・と、このような按配で設計されているらしいです。
朝日が差し込む表参道ヒルズ前の表参道。(朝早いので車が少ない!)写真右手奥が東方向、青山通り方面。
さらに東へ進み、青山通り / 表参道交差点より、朝日を背に表参道入り口(西方向)を臨む。 ここが「表参道の起点」。冬至~初日の出の時期における、「太陽の道」の入り口です。
より大きな地図で 明治神宮ー表参道 日の出の道 を表示
グーグルマップ上に明治神宮鳥居前から表参道に沿って青いラインを引いてみました。何度もいいますが、これが冬至の日に太陽が登ってくるライン(まあ、初日の出のラインと言ってもいいでしょう)です。
では、このラインをまっすぐお日様が登ってくる方向に伸ばしていくとどこにたどり着くのでしょうか?
より大きな地図で 明治神宮ー表参道 初日の出の道 を表示
と、こんな感じで、東京湾を横断した後、房総半島中央部を通過して九十九里浜の最南端部に到達することが見て取れます。つまり、明治神宮に初詣した人が、表参道の向こうに拝む初日の出とは、九十九里浜南端から臨んだ太平洋の水平線から登ってきた御来光なわけです。
ところで、明治神宮から表参道に沿って一直線に伸ばしたライン上、九十九里浜に到達する手前に、ある重要な施設があります。
より大きな地図で 明治神宮ー表参道 初日の出の道 を表示
上総の国一ノ宮「玉前(たまさき)神社」です。
千葉県一宮町、玉前神社前の街並み。一宮と言っても門前の様子はこのとおり、実に鄙びた田舎町。言うまでもないことですが明治神宮前の表参道とはあまりに対照的な光景です。
拝殿/本殿は、黒を貴重にした落ち着いた色合いの、こぢんまりとした質素な佇まいです。主祭神は「玉埼神、玉依姫命」。
平日は参拝者もまばらな玉前神社ですが、実は古代の人々が太陽信仰に基づいて意図的に聖地を配置したといわれる太陽の通り道・「レイライン」の東の起点の神社として、知る人ぞ知る存在なんだそうです。
ただ、玉前神社が「レイライン」で有名なのは冬至の日ではなく、「春分・秋分の日」です。春分・秋分の日の朝、九十九里の浜辺から登った太陽は、この玉前神社の参道を通り、神奈川の寒川神社~富士山~琵琶湖の竹生島~丹後の元伊勢などを経て、出雲大社まで一直線に並ぶ聖地の上空を通過して西の海に沈むという壮大な古代史ロマンの世界、その始まりの聖地が千葉のはずれのこの鄙びた神社なんです。(私もあまり詳しくありませんが、興味のある方は「玉前神社」「レイライン」などのキーワードでググッて見てください。ちなみに、秋分の日の朝、玉前神社の参道はこんな感じになるようです。)
玉前神社から直線距離で東へ68キロ。一転して明治神宮に戻ります。写真は参道をずっと奥まで入った三の鳥居越しの拝殿。拝殿の屋根の上に西新宿のモード学園コクーンタワーが、なんというかこう、超古代文明の祭祀史跡のような雰囲気を発しつつ頭を覗かせていました(笑。
もちろん、九十九里~玉前神社~富士山~出雲大社へと連なる「春分・秋分レイライン」上に明治神宮は乗っかっていません。しかし、明治政府の関係者は、古代のレイラインの考え方にならって明治神宮と表参道をレイアウトした可能性は捨て切れないと思います。
「冬至」という日は一年で最も太陽のエネルギーが低下し、これからエネルギーが増加に転ずる日、つまり「再生」の起点となる日です。そんな冬至の朝の日の出のエネルギーが、レイラインの起点である玉前神社で増幅され、はるか東の「表参道」を通って一直線に明治神宮に照射されることで、明治神宮に、祭神(つまり明治天皇)の再生装置としての意味合いを持たせようとしたのではないでしょうか?(加門七海ふうに)
そう考えると、この道にいくつもの歩道橋が架けられていることは、景観やバリアフリーの観点以前に「不敬」極まりない暴挙といえます(明治天皇というより明治の森に住む神々一般に対して)。たとえ明治神宮が玉前神社の「レイライン」まで考えてなかったにしても、表参道が、初日の出の御来光を拝めるように造営されたということくらいは認識しているはずですから、その入り口を塞ぐような建造物が設置される時点で、なんで神宮側から「待った」がかからなかったのかな?と思います。(明治神宮は神社界で突出してリッチな存在だそうですから、本来あるべき参道の姿を整備する費用を神宮が負担したってバチは当たらないと思いますがね。)
表参道から臨んだ朝日を浴びる神宮の森。鬱蒼たる神の杜を一直線に遮る歩道橋。もしかして、お前は鳥居のつもりか?w
青山通り近く、神宮前五丁目歩道橋。このように表参道には、原宿駅前以外にも、あちこちに無粋な歩道橋がかかっていて、このことは、明治神宮が本来取り入れるべきエネルギーを遮り、神宮の祭神である明治天皇が象徴するところの帝都東京の再生・発展を妨げ、ひいては霊的側面から日本の国力を衰退させる行為に他ならないわけですから、もっと早い時期に愛国勢力は原宿界隈の歩道橋撤去を強く訴えるべきだったと猛省すべきでしょう。 (荒俣宏及び大日本帝国ノスタルジスト風に) 。
などと、とりとめもないヨタ話はこのへんにして、明治神宮に初詣に行かれる方は、表参道のまっすぐ先に見える初日の出の先に、壮大な古代史の謎なんかを重ねあわせてみるのもオツなんじゃないでしょうか。
そういう私はというと、個人的には明治天皇を神と崇めるのはかなり違和感がありますし、毎年キ◯ガイみたいに混む明治神宮に初詣でするなど考えられないので、近所の亀有香取神社で済ませます。(ちなみに「香取神宮」と「鹿島神宮」も「レイラインマニア」の間では非常に重要な聖地なので興味のある方はググッて見てください。またなんか独自の視点が思いつけばこのブログでも取り上げてみたいと思います)。
というわけで、こんな記事を書いておきながら、正月の「初詣で」だとか「初日の出」に関しては、人ごみで疲れるだけで無意味なイベントだと思っている私ですが、春分の日の朝の玉前神社には一度参拝して朝日を浴びてみたいと思っています。では、また。
コメント
原宿から明治神宮まで行くのにあの歩道橋は結構便利だったんですが… 実はこんな謎が隠されていたとは 実際景観の面でいうと邪魔になってるのは否めないですもんね