再開発ラッシュの大手町のど真ん中。建設中の「(仮称)丸の内1-4計画」。高層部の外観はほぼ完成しているようです。この幅で高さ150mですから相当巨大なビルです。
足元にパンダウン&ズームしてみると・・・、工事用の足場やシートが徐々に取り払われ、ファザードの様子が伺えるようになっていました。暗めの渋い色合いを基調にした重厚なデザイン。そして、同じような高さのシックorレトロなデザインの建物がほどよいバラけ具合で一列に連なり、高層ビル街とは別のもう一つの街並みが形成されつつあることに気づきます。いずれも今世紀に入って完成した高層ビルの低層部分です。
微妙にズームして・・・。手前から三菱UFJ信託銀行本店ー日本工業倶楽部会館ビル、新丸ビル、一番奥の白っぽく見えるのが丸ビルです。(位置関係は再開発推進協議会公式マップで。マップ上のNo.19からNo.5を臨む。)
丸の内は19世紀末から20世紀初頭にかけ、「三菱」の手により開発された街です。ロンドンのロンバード街に倣って計画された赤煉瓦街は「一丁倫敦(いっちょうロンドン)」と言われていたそうです。しかし、高度成長期に機能優先の中層オフィスビルに建て替えられる過程で、赤煉瓦街の風情はほとんど失われてしまいました。
ただ高さだけは1970年代半ばまで、旧丸ビルの高さである100尺(約31m)に統一されていましたが、これは景観面の配慮というより、当時はまだ耐震建築技術が未発達で、それ以上の高さにすると地震で倒壊する恐れがあったからだそうです。
そして今世紀に入ってからの怒涛の高層ビル街化。丸の内のマンハッタン化と言われていますが、足元では“高さ100尺”の“一丁倫敦”が復活しようとしています。
最初の写真とは逆に東京駅前から「丸の内1-4ビル」方面を臨む。手前は4年前に完成した新・新丸ビルですが、設計者は英国人建築家のマイケル・ホプキンス卿という人だそうで、シックなレトロ感と、少しくすんだ近未来感覚が見事に融合した、サイバーレトロな雰囲気は、まさに21世紀の“一丁倫敦”の入り口にふさわしい存在感を放っているのではないでしょうか。
新丸ビルは遠目には高さの割にずんぐりしてスマートさに欠けるシルエットですが、こうして間近から見上げると、ものすごくカッコいいです。特に低層部と高層部のデザインの連続性が見事です。(斜め向かいで建設中のJPタワーの高層部と低層部の分裂したデザインとは対照的です。)
最後に“一丁倫敦”の草分け、「三菱一号館」を低層部に忠実に再現した「丸の内パークビル」(公式マップNo.17)の前から、丸ビル・新丸ビルを経て「丸の内1-4計画」方面を臨む。惜しいのはこのビルと丸ビルの間の「三菱ビルヂング」が古くて新しい街並みの連続性を分断していることです。丸の内再開発協議会の公式サイトをみても現時点で建て替え計画はないようです。ここまで来たらここも建て替えて一気に“新一丁倫敦ストリート”を完成させてほしいものです。