唐突に再開します。
リハビリがてらにお盆明けの丸の内の様子から。
神田駅側、丸の内オアゾとJRの線路の間の道から東京駅丸の内口を臨む。
復元工事が進む赤レンガ駅舎、覆い合間からネギ坊主屋根が覗いています。
その向こうのタワークレーンが載ったガラスの巨塔は、自民党政権末期、色んな政治家の売名に利用され残す残さないでさんざんすったもんだしながら着工された旧東京中央郵便局跡再開発計画・「JPタワー」です。
高さ200m。丸の内側では新丸ビルを抜いて最も高いビルとなります。再上層部はまだガラスカーテンウォールが取り付けられていませんが、鉄骨は最高部 まで達した様子で、東京駅前の新しいスカイラインがイメージできるようになりました。
丸の内側で最も高いといっても、駅を挟んだ反対側、八重洲口のグラントウキョウと全く同じ高さです。景観面から、高さ規制が厳しい丸の内では、図抜けて高いビルを建てることは許されず(といっても条例や法律があるわけではなく“協定”なわけですが)その時代に応じて高さの上限は自主規制されていて、JPタワーは、今の協定内で建てられるギリギリまで 高くしたビルということになります。
計画発表時は、ここに200mのビルが建っても、裏の「三菱東京UFJ銀行本店」や「東京ビル」といった優れたデザインのビルを覆い隠してし まい、また、遠目にも巨大な一塊のビルに見え、景観的なマイナス面が大きい様な気がしました。
なので、どうせ建てるなら高さを250mくらいにした方が起伏に富んだスカイラインが形成され、景観上も望ましいのではないかと考えていましたが、こうしてビルが立ち上がってみると、新丸ビルの前あたりからでも、後ろの「東京ビル」とも重なって見えているので、大景観としての街並みはひとまず成立しているようです。
また、パースの段階では、北面ファザードのエンボスデザインが、ビル全体をアタマでっかちにみせる視覚的効果があるようで、安定感のないマズいデザインだなーと思っていましたが、下から見上げる実物は、遠近感のおかげで写真のように上にいくほど細く見えるので、心配していたようなこともなさそうです。(まあ、だからといって「日本の一等地」 にそびえる建物としてふさわしいデザインとも思いませんが・・。)
ただ、まだ工事用シートに覆われていて見えませんが、パースを見る限り、旧郵便局の外壁を保存修復した低層部と、高層部のデザインの断絶感はちょっと致命的な気がします。なんというかこう、安直というか投げやりというか・・・本当に、ただ元の建物の上にドン!とガラス張りのビルを載っけて「ほら、皆さんが残せ残せってうるさいから下はそのまんま残しましたよ。これで文句ないでしょ!」みたいな・・・。 まあ、低層部のシートが取り外されて、こういうネガティブな印象を裏切ってくれることを期待しますが。
復元進む赤レンガ駅舎、南側のトンガリ屋根。今年の春ごろから顔をのぞかせていたので、一気に工事の進行が加速するのかと思っていたら、お盆がすぎてもあんまり変わりませんねえ。JPタワーの高層部の鉄骨が組み上がりはじめてから、鬼のようなスピードで上に伸びていくのとは対照的なのんびりしたペースです。結構難しい工事なんでしょうけども、工事でゴチャゴチャした駅前広場だけでもできるだけ早くスッキリさせてもらいたいものです。
皇居前広場から臨む。逆光でわかりづらいですが、右端のタワークレーンのあるのがJPタワー。外国人観光客がみる東京の大景観も、迫力が増しましたね。なかなかイケてるシルエットだと思います。
三宅坂まで足を伸ばしてお堀ごしの丸の内。JPタワーが加わって隙間が埋まり迫力が増しましたが、ここからみると、「巨大な一塊感」が否めないかも・・・・。やっぱりもう50m高さがあった方が美しいスカイラインになったと思うんですが、どうでしょう。
最後に八重洲口から東京駅ごしにみたJPタワー。こちらは1ヶ月前の写真なもんで空気は澄んでるんですが、まだアタマがちょっとかけてます。北面のファザードと違って横のラインを基調としたカーテンウォールなのと、この距離からだと下から見上げる感じにならないので、上棟前であることを差っ引いても、あまり高さを感じませんね。
丸ビル、新マルビルも入れて。10年ちょっと前まではここからみた丸の内はほとんど高層ビルが見えなかったんですが、JPタワーの登場でようやく隙間もうまり、大景観のバランスが整ってきた感があります。あとは東京駅八重洲口のウィング屋根の完成を待つばかりといったところでしょうか。