2つの再開発で激変する西新宿・青梅街道界隈(その1)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

DSCN0193.JPG
新宿副都心の西のはずれ、中野坂上との中間あたりの青梅街道沿いで進む2つの大規模な再開発事業が今年相次いで完成します。甲州街道に比べてやや垢抜けない感のあった新宿の青梅街道沿いの街並みがどのように変化したのか、見てきました。

DSCN0197.JPG

手前の黒いビルは、今年8月末に竣工予定の西新宿八丁目成子地区再開発の中心施設で地上40階・196mのオフィス・住宅の複合ビルです。 都庁周辺のビルのように、いかにも人工的な、従来の街並から隔絶された区画に建つ高層ビルと違って、青梅街道という旧来からある大通り沿いに高層ビルが並び立つ景観は、アメリカの大都市に近い迫力を感じます。

DSCN0208.JPG
中野坂上側の、すぐ隣で建設されている白い高層ビルは、北新宿地区再開発・新宿フロントタワーで、地上35階・166m(業務棟)、地上20階・69m(住宅棟)からなる複合施設。 竣工予定は、成子坂地区より2ヶ月早い、今年6月末です(もうすぐ!!)。ほぼ同時進行的に建設が進んでいるので「成子坂」と同じ再開発プロジェクトかと思いきや、別の事業主体による別のプロジェクトです。

DSCN0213.JPG
そのためか、どうも2つの高層ビルの配置のバランスが悪いというか、全く連携がとれていないというか、せっかく長い準備期間と莫大な建設費とをかけたビッグプロジェクトなのになんかもったいない気がします。

「新宿フロントタワー」は縦のラインを基調にしたシンプルなファザードが、実際よりも高さを感じさせるスマートなビルで、なかなか都会的な佇まいを見せていると思うんですが、冒頭2枚の写真のように、新宿駅方面からは、幅広の「成子坂」ビルに覆い隠されてしまっていて全くと言っていいほど姿が見えません。

上の写真のように「成子坂」のビルのすぐ横くらいまで近づいてようやく全容が見えるような、完成前から日陰もの的なポジショニングになってしまっています。「成子坂」のビルの幅をもう少し狭めるか、青梅街道からセットバックして、新宿駅側からも2つのビルが重なってみえる配置にできなかったものかと感じます。東京の再開発にはこのような、トータルな景観設計というか・「街からの見え方」という概念が欠落した再開発が多いような気がして残念な気がします。

DSCN0215.JPG
同じく青梅街道沿いある、「新宿副都心」古参の高層ビル、損保ジャパンビルと新宿野村ビルがやはりこういう距離感で建っていますが、「成子坂/北新宿」の方が、青梅街道に、よりダイレクトに接して建っている感があるので、近くによるとより都会的な印象を受けます。(遠目には損保ジャパン・野村ビルの方が高くてスマートですが。)どこかマンハッタン・6thアベニューからみたロックフェラーセンターに似ているような気もします。(改めて写真を見比べてみるとスケールが全然違いますがw)

DSCN0218.JPG
中野坂上側から見える「成子坂」のビル。このビルはオフィス・住宅兼用ですが、フロア(階)で分けるのではなく、(ほぼ)上から下まで、新宿側の窓は住宅、中野側の窓はオフィスという、非常に珍しい方式をとっているそうで、そのためか、のっぺりした新宿側のファザードよりも、中野側からみたファザードの方が起伏とアクセントがあって、オフィスビルらしい都会的な表情をみせています。しかし・・・

DSCN0224.JPG
中野側に回ると今度は、「北新宿・フロントタワー」が「成子坂」のビルを隠してしまって見えない・・・。しかも、フロントタワーの中野側のファザードは、中央に窓のない無粋な白い壁がかなりの部分を占めていて、いまいちスマートさに欠ける・・・。なーんかちぐはぐというか、もったいないんだよなあ。まあ、こんなこと考えながら青梅街道を歩いてるのも私くらいでしょうけどw

DSCN0234.JPG
「淀橋」の上から新宿方面を望む。このアングルからだと二棟のビルがうまく重なって見えます。

DSCN0227.JPG
北新宿・成子坂、2つの再開発の前提として整備が進められ、先ごろようやく完成した「税務署通り」(山手線のガードをくぐると「職安通り」と名を変える)の路上から山手線方面を望む。こちらからみる2つの高層ビルが一番かっこいい重なり具合で見えます。もしかして青梅街道ではなく、この道からの景観を考慮して配置が設計されたのか??まあ、単なる偶然でしょうね。

DSCN2752
税務署通りを山手線側に戻って、中野坂上方面を臨む。やっぱりこっちからみると「成子坂」の再開発ビルは巨大なマンションそのものですね。道の真正面に見えるのは中野坂上のビル群。

DSCN2753
中野坂上交差点のビル群って、なにげにカッコいいんですよね。(近くによると普通の民家の密集地と隣接してるのでややアンバランスですけど)。新宿のビルに比べたら全然低いんだけど、「成子坂」のような幅広のビルよりも高さを感じます。高層ビルが形づくる景観は、ビル単独の規模やデザインよりも、デザインと縦横比の総合バランス、それに「街中からの見え方」を考慮した配置がとても重要なんだと私は感じます。

5473547308_c0329f258a_b

最後に東口に飛んで紀伊国屋書店前。アルタ前からだとチラっとしか見えませんが、このへんまでくると「成子坂」の再開発が視界に占めるウェイトが大きくなります。実は私の、この再開発に関する最大の関心事は、新宿の繁華街の真ん中からどの程度見えるか?ということでした。新宿駅からはかなり距離があるので、東口からは見えないかとも思っていたのですが、さすがに190mもあると、それなりの存在感を示してくれます。手前の高層ビル(住友不動産西新宿ビル)も最近できたビルですが、これらのビルができるまで、新宿の一番繁華なこのあたりから西口方面を眺めても、高層ビルが1本も見えず、ゴチャゴチャした雑居ビルの上にぽっかりと青空が覗いていました。これは世界都市・新宿としてはとても残念な景観だと感じていたので、新たにできた2つの高層ビルが重なって、視界を適度に埋めてくれたことにより、新宿の街並みの視覚的な都会度が増したことを歓迎したいと思います。(マニアックだなぁw)

にほんブログ村 その他生活ブログ 街づくりへ にほんブログ村 デザインブログ 建築デザインへ にほんブログ村 その他生活ブログ 商店街・繁華街へ


シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする