9月27日、渋谷センター街のメーン通りが「バスケットボールストリート(略称:「バスケ通り」)」という名になりました。
「渋谷センター街:『バスケ通り』命名式 中学生ら行進 /東京」(毎日新聞 2011年9月27日)
地方都市で、その土地の成り立ちや歴史的な継続性と全く関係のない、とってつけたよう新しい地名が考案される事例を今でも時折みかけますが、東京の、しかも渋谷のど真ん中の超有名な通りに、突如としてこういう意表をつくネーミングがなされるとは思ってもみませんでした。
案の定ネット上での評判は散々で、「なんでバスケなの?意味わからん」 「ドリブルしながら歩くのかよ?w」といった声が大勢をしめているようです。
ちなみに、「渋谷センター街」とは、宇田川町一体の通りの総称(ピンクの部分)で、今回「バスケ通り」になったのはそのうちのメイン通り(オレンジの部分)だけです。そして「バスケ通り」も引き続きセンター街の一部であることには変わりはありません。
(地図拝借元:渋谷センター街公式Webサイト)
こちらが今回「バスケ通り」になったメイン通り。従来からある「センター街」の名が記された街灯の支柱にバスケットボールをあしらった装飾が施され、「バスケ通り」をアピールしていますが、それ以外特に以前と変わった所は見つけられませんでした。週末の夕方ということもありますが、それにしてもこの相変わらずの人の多さには辟易です(汗。こんなとこをバスケのドリブルしながら走り抜けたら殺されそうですw
一方こちらは、今回「バスケ通り化」からはずれた方の通り。「バスケ通り」と違い、もともと車道がメインだった「井の頭通り」です。確か15年くらい前までは歩道もロクに整備されておらず、「センター街」には含まれてなかったと記憶しています。
井の頭通りの方は、比較的最近になって商店街化が進んだので、ブランドショップの路面店なども多く、メイン通り(バスケ通り)に比べると雑然とした感じが少なくオシャレです。むしろこっちの通りの方が、例えばロフトの前のちょっとした空間などにさりげなくバスケットゴールなどを設置すれば、なんとなく「バスケ通り」という雰囲気が作れるような気もしますが・・・。
ところで、毎日新聞の記事によると「バスケ通り」と命名した経緯と選定理由について、渋谷センター街商店街振興組合は次のように述べています。
「(センター街のメイン通りは)これまで『ガングロ』『センターGUY』などの若者文化を生み出してきた一方、『怖い』『汚い』というマイナスの印象も広がっていた。若者の情熱やファッション、国際性という街の特徴を表す名前を付け、イメージ向上につなげたいと2年がかりで検討してきた。」 |
うーん、2年も前から議論していたのか・・・。てっきり一人か二人の商店街の実力者のとっさのヒラメキかと・・・。しかし、「ファッション、国際性を象徴する」のがバスケって・・まあ、こういう感想はネット上で散々言われているのでここでは控えるとして・・・、記事には次のようにも書かれています。
通りには、プロ選手も訪れる国内最大級のバスケ用品店があり、「バスケの聖地」と言われる国立競技場第二体育館が近いこと(振興組合のサイトでは『通りの先には』と表記)などが命名の決め手となった。 |
あ、なるほど、一応この場所ならではの必然性があるわけね・・・、ん?でも国立競技場第二体育館って確かNHKの横のあれだよな・・・
より大きな地図で センター街と代々木体育館 を表示
(ピンクのエリアが《バスケ通り以外も含めた》センター街)
これ、センター街の「通りの先」と言うより、
パルコのある「公園通り」の先やん・・・。
いや、まだ「プロ選手も訪れる国内最大級のバスケ用品店」ってのがあるぞ。これは知らなかった。センター街でみかけたことないけど、どの店のことだ?・・・・
「スポーツショップGALLERY・2 渋谷店」
より大きな地図で 渋谷バスケ通り を表示
(左上の赤いバルーン印が「GALLERY2」・黄色いエリアが「バスケ通り」)
・・・。これ、「バスケ通り」から全然ハズレてるし・・・。むしろ今回「バスケ通り化」を免れた方のセンター街=「井の頭通り」の先やん・・・。
・・・まあ、そんな細かいことはさておき、果たして「バスケ通り」は商店街振興会の思惑通り定着するのでしょうか?・・・ ネット上の反響をみていると、定着すると思ってる人は1割にも満たないような気がしますが、逆に渋谷のど真ん中という立地のもつ、エッジの効いた感性は、世間一般、そして私のような地方出身者の考えの及ばぬ次元で「バスケ通り」を定着させてしまわないとも言い切れません。
いや、もっと純粋に、振興組合の人たちの「渋谷をよくしたい」という心意気に共感した、渋谷を拠点とする若者たちの間で「振興組合の人たちには日頃お世話になってるんだからさー、みんな協力して、ちゃんと『バスケ通り』ってよぼうぜ!」というノリが生まれないとも限りません。
ただ、いくら渋谷を愛するがゆえであっても、間違っても「チーマー」「ガングロ」「センターGUY」系の流れを汲む人たちは、「バスケ通り」と呼ばない若者を、脅してでもそう呼ばせるようなことだけは、しないようにしてほしいと思います。
ちなみに掲示板などでは、「バスケットボールストリート」→「略称:バスケ通り」なので、さらに略して「バス通り」となる可能性も指摘されていますが、これなら言いやすいので世代を超えてすぐに浸透するかも?・・・・いやいや、よく考えたら「バスケ通り」にならなかった「井の頭通り」にはバスが通ってるので「バスケ通り」を「バス通り」と言ってしまうと紛らわしいことこの上ないな。やっぱり素直に「バスケ通り」を使うのが、これからの渋谷を訪れる若者の正しいあり方なのでしょうね。まあ、ほとんど渋谷のこのあたりを訪れることのなくなった私のようなおっさんにとってはどうでもいいんですけど。
ところで、帰りにふと思いついたんですが、「Q-Front ビル」の巨大モニターにバスケゴールを、交差点の周りに3つくらいある壁面モニターにバスケプレーヤーを映し出し、モニター間で次々とパスを回して、最後にサロンパスのネオンの下のモニターからQフロントのバスケゴールめがけてシュートをキメる・・・。っていうマルチディスプレー型のスポット映像を制作して毎正時ごとにヘビーローテーションするとか、そういうプロモーションはどうですかね?
キャスティングはまず名の通ったバスケ界のスター(田臥勇太とか・・・くらいしか知りませんw)から始めて、学生時代バスケやってた有名人等も出して、スクランブル交差点を渡る人たちに「へー、あの人もバスケやってたんだ?」って思わせるとか・・・。
いや、まあこのエントリーの写真が狭苦しい風景ばっかだったので、最後にこの写真を使うためにちょっと言ってみただけなんですけどw。でも真面目な話、なんらかの「さりげなく」「押し付けがましくなく」かつ「継続性のある」うまい仕掛けを考えて行かないと、みんなが「『バスケ通り』って呼ぼうぜ!」って気分になるのはやっぱちょっとキビシイかも・・・。